演目と配役
三遊亭円朝 原作
大西信行 脚本
通し狂言
怪談 牡丹燈籠(かいだん ぼたんどうろう)
第一幕 大川の船より
新三郎の家まで
第二幕 野州栗橋の宿はずれより
幸手堤まで
納涼歌舞伎とは──
今や夏の風物詩である歌舞伎座の「納涼歌舞伎」は、平成2(1990)年に十八世中村勘三郎(当時 勘九郎)、十世坂東三津五郎(当時 八十助)らを中心に始まりました。当時30代だった二人をはじめ、若手花形の活躍の場となり、様々な意欲的な演目を上演。幅広い世代のお客様にご覧いただきやすい公演として愛されています。
真夏の歌舞伎座がひんやり …怪談物の代表作
浪人の萩原新三郎と旗本の娘お露。すぐに惹かれ合った二人ですが、思いが強すぎるあまりお露は恋の病に伏せ、この世を去ります。ある夜、新三郎の前に現れたのは、妖しく光る牡丹燈籠を手にしたお露と乳母お米。不思議に思いながらもお露を招き入れる新三郎でしたが…。その様子を覗き見てしまった新三郎の下男・伴蔵は恐怖に慄きます。やがて家中に貼られたお札によって、新三郎に近づくことができなくなったお露にお札を剥がすことを懇願された伴蔵は躊躇しますが、金に目のない妻のお峰は金100両と引き換えに請け負います。念願叶ってお露は再び愛しい新三郎のもとへ…。 一年後、伴蔵とお峰は幽霊からもらった100両を元手に荒物屋を営み、すっかり裕福になっていました。しかし伴蔵は料理屋の酌婦お国に入れあげており、お峰は怒り心頭。実はこのお国、恋人である宮野辺源次郎と組んでお露の父親を殺し、金銀を奪って二人で江戸を出奔。お峰による伴蔵への詰問は次第に口論へと発展し、互いに責め立て合うと、そこへ見覚えのある牡丹燈籠が…。
「カランコロン…」不気味に響く下駄の音が印象的な怪談物の代表作「怪談牡丹燈籠」。明治の名噺家・三遊亭円朝の傑作落語を元にした人気作です。背筋の凍る展開はもちろんのこと、伴蔵とお峰、源次郎とお国、新三郎とお露という3組の男女が物語を展開。幽霊よりも人の欲深さが怖ろしい、愛憎渦巻く見応えたっぷりの怪談物を、円朝が高座に上がって語りかける趣向の演出でお届けします。
| 伴蔵 |
坂東 巳之助 |
| お峰 |
尾上 右 近 |
| お国 |
坂東 新 悟 |
| 宮野辺源次郎 |
中村 橋之助 |
| 萩原新三郎 |
市川 染五郎 |
| お露 |
尾上 辰之助 |
| 乳母お米 |
尾上 緑 |
| 仲働お六 |
尾上 菊三呂 |
| 医師山本志丈 |
澤村 精四郎 |
| 女中お竹/酌婦お梅 |
中村 玉太郎 |
| 酌婦お絹 |
澤村 宗之助 |
| 飯島平左衛門 |
河原崎 権十郎 |
| 三遊亭円朝/馬子久蔵 |
松本 幸四郎 |
四世片岡亀蔵を偲んで
岡 鬼太郎 作
榎本滋民 改訂
眠駱駝物語
一、らくだ
四世片岡亀蔵を偲ぶ——落語をもとにした傑作喜劇
遊び人の手斧目の半次は、悪友の馬太郎が河豚にあたって死んだと聞かされます。通りかかったは紙屑買の久六は、弔いの金や酒肴を調達するため、半次に強引に頼まれて家主の夫婦のもとへ。しかしあっさり追い返され、妙案を思い付いた半次は馬太郎の亡き骸を久六に担がせ家主のもとへ押し掛け、死人に“カンカンノウ”を踊らせます。
落語がもとの喜劇の傑作。せしめた酒で酔った久六が態度を一変、半次と立場が逆転し、馬太郎を担いで披露する踊りは抱腹絶倒の場面です。昨年11月に逝去した四世片岡亀蔵がたびたび演じた馬太郎は、圧倒的な存在感で魅了した当り役。ゆかりの俳優が顔を揃える舞台をお楽しみください。
| 紙屑買久六 |
中村 勘九郎 |
| 手斧目半次 |
松本 幸四郎 |
| 家主女房おいく |
笹野 高 史 |
| 糊売り婆おぎん |
中村 梅花 |
| 駱駝の馬太郎 |
片岡 市 蔵 |
| 家主佐兵衛 |
坂東 彌十郎 |
伝説の女盗賊を描いた見応えある作品
盲目の浪人・夏目四郎次郎に仕える妻のお松は、裏では大勢の手下を率いる女盗賊「鬼神のお松」の顔をもっています。夫が浪人に落ちぶれる原因となった主家の宝刀「暁丸」を奪い返すためです。ある日、お松は旅の武士を殺めますが、それが夫の兄だと知り驚愕。さらに夫が悪党に騙されて偽の宝刀を掴まされ、切腹を図ろうとします。夫を止め、本物の宝刀を巡りお松は古寺で奮戦しますが……。
「日本三大盗賊」とされる鬼神のお松。本作では女盗賊・娘・女房の3つの顔を鮮やかに演じ分けます。お松が見せる夫への愛や我が子への母性愛など見どころの多い幕末に生まれた物語を、本興行では実に62年ぶりにお届けします。
| 鬼神のお松 |
中村 七之助 |
| 夏目四郎次郎 |
尾上 右 近 |
| 主水妹藤浪 |
中村 米 吉 |
| 下部柴平 |
中村 虎之介 |
| 茶屋女お福 |
中村 歌女之丞 |
| 盗賊小助実は木鼠 |
中村 歌之助 |
| 篠原一学 |
中村 福之助 |
| 夏目四郎太郎 |
中村 歌 昇 |
| 牧村主水 |
中村 扇 雀 |
萩原雪夫 作
一、舞鶴雪月花(ぶかくせつげっか)
上の巻 さくら
中の巻 松虫
下の巻 雪達磨
季節の移ろいを洒脱に描く変化舞踊
しだれ桜の向こうから現れた美しい桜の精が、都の名所を舞い踊ります。やがて秋。すすき野では親とはぐれた松虫の子どもと、我が子を求める親松虫の姿が。そして冬の銀世界、炭屋の娘に恋をした男前の雪達磨は、熱い思いに胸を焦がします。十七世中村勘三郎に書き下ろされた中村屋ゆかりの舞踊。愛らしい桜の精、儚い松虫、コミカルな雪達磨を三段構成で軽妙洒脱に描きます。
| 〈上の巻〉 |
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| 桜の精 |
中村 七之助 |
| 〈中の巻〉 |
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| 松虫 |
中村 勘太郎 |
| 松虫 |
中村 長三郎 |
| 〈下の巻〉 |
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| 雪達磨 |
中村 勘九郎 |
実在の芸妓をモデルにした、切ない恋心
俗世を離れて仏門に入った女が、独り寝に思い出すのは昔の恋人のこと。雪の夜に男の訪れを待ちわびた切ない日々に思いを馳せます。大坂・南地の実在の芸妓をモデルにした江戸中期の曲を、昭和の舞踊家・武原はんが独自の工夫と表現で洗練させた作品に基づいています。上方らしい優艶さにあふれる地唄舞をご覧ください。
月の美しい情景と、命の儚さ
磯辺の松の葉に隠れ、沖へ入る月。早くに世を去った女がひとり…。江戸中期に活躍した音楽家・峰崎勾当が、門下の早世した娘を悼んで作った名曲です。『雪』と並び称される珠玉の作であり、見え隠れする月の情景と儚い命の面影が静かに重なり合います。上方舞の情緒が深く息づく、美しくも切ない地唄舞をご堪能ください。