演目と配役
心地良い鈴の音と足拍子
厳粛な雰囲気の舞台に、翁が千歳をともなって現れ、天下泰平を祈念して厳かな舞を見せます。続いて二人の三番叟が、五穀豊穣を祈り、軽快な鼓の調べに乗せて舞い始めます。
二人の三番叟が躍動感あふれる振りで息を合わせて舞う、荘重で華やかな舞踊をご覧いただきます。
古典の名作の三兄弟を女に替える趣向の華やかな舞踊
京の吉田神社で出会った松王丸の妻千代、梅王丸の妻春、桜丸の妻八重。三人は舎人が着る白丁の羽織を着て、車の引き合いや賀の祝の料理拵えをする様子を踊って見せるのでした。
『菅原伝授手習鑑』「車引」の登場人物の女房たちが踊る趣向の舞踊をお楽しみください。
三、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)
鶴ヶ岡八幡社頭の場
名将が密かな決意を込めた一閃
梶原平三景時ら平家方の武将が鶴ヶ岡八幡宮に参詣するところ、源氏方の六郎太夫と娘の梢が、刀を買ってもらおうとやってきます。梶原が鑑定すると、何とも見事な刀。二人の罪人を重ねて斬る「二つ胴」で刀の斬れ味を確かめることになりますが、死罪人が一人足りません。すると金の工面に窮する六郎太夫が自らの身体を差し出します。試し斬りを請け負った梶原が一気に刀を振り下ろすと…。
智勇にすぐれる武将梶原景時が颯爽とした捌き役ぶりを見せる、歌舞伎の様式美にあふれる一幕をお楽しみください。
梶原平三景時 |
吉右衛門 |
大庭三郎 |
又五郎 |
俣野五郎 |
歌 昇 |
梢 |
米 吉 |
奴萬平 |
錦之助 |
青貝師六郎太夫 |
歌 六 |
四、恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)
封印切
その身の破滅は恋のため
飛脚問屋亀屋の養子忠兵衛は、遊女梅川と深い仲。身請けの手付金を払ったものの、後金ができずにいます。そんな折、飛脚仲間の丹波屋八右衛門が梅川を身請けすると言い出します。八右衛門と言い争う内に忠兵衛は、武家屋敷へ届けるはずの金三百両を身請けの後金だと言って封印を切ってしまい…。
愛しい女のために罪を犯した人間の行動とその心理を緻密に描写した、上方和事の代表作をご堪能ください。
亀屋忠兵衛 |
仁左衛門 |
傾城梅川 |
孝太郎 |
丹波屋八右衛門 |
愛之助 |
槌屋治右衛門 |
彌十郎 |
井筒屋おえん |
秀太郎 |
みなもと太郎 原作
三谷幸喜 作・演出
三谷かぶき
月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)
風雲児たち
ここはロシア、遥かなる故郷を目指して
鎖国によって外国との交流が厳しく制限される江戸時代後期。大黒屋の息子光太夫は、商船神昌丸の船頭(ふながしら)として伊勢を出帆します。しかし江戸に向かう途中で激しい嵐に見舞われて帆は折れ、大海原を漂流することになるのでした。
海をさまよう神昌丸には17人の乗組員たち。船頭の光太夫、経験豊富な船親司(ふなおやじ)三五郎、最年長の乗組員九右衛門、喧嘩ばかりの水主(かこ)庄蔵と新蔵、どこか抜けている小市、三五郎の息子の青年磯吉…。光太夫はくじけそうになる乗組員を必死で奮い立たせ、再び故郷の伊勢へ戻るため方角もわからない海の上で陸地を探し求めます。
漂流を始めて8カ月─。神昌丸はようやく発見した陸地に上陸します。ところがそこは日本ではなく、なんとロシア領のアリューシャン列島アムチトカ島。異国の言葉と文化に戸惑いながらも、島での生活を始める光太夫たち。厳しい暮らしの中で次々と仲間を失いますが、光太夫らは力を合わせ、日本への帰国の許しを得るため、ロシアの大地を奥へ奥へと進みます。
異国から来た日本人である光太夫たちに対して、親切なキリル・ラックスマンをはじめ、行く先々でさまざまな人の助けを得て、ようやく光太夫はサンクトペテルブルグにて、女帝エカテリーナに謁見することが叶い…。
『月光露針路日本 風雲児たち』は、みなもと太郎の歴史漫画「風雲児たち」を原作とする、三谷幸喜の作・演出による新作歌舞伎です。三谷幸喜が歌舞伎を手がけるのは、平成18(2006)年の『決闘!高田馬場』以来2作目となり、この度、満を持しての歌舞伎座初上演です。
見知らぬ異国の大地でどんな困難に直面しても、日本へ帰ることを諦めず、強い意志を持ち運命と闘い続けた大黒屋光太夫の物語。エンターテインメント性たっぷりに、歌舞伎の表現を存分に活かした新作歌舞伎をお楽しみいただきます。
大黒屋光太夫 |
幸四郎 |
庄 蔵/エカテリーナ |
猿之助 |
新 蔵 |
愛之助 |
口 上 |
松 也 |
ラックスマン |
八嶋智人 |
マリアンナ |
新 悟 |
藤 助 |
廣太郎 |
与惣松 |
種之助 |
磯 吉 |
染五郎 |
幾 八 |
松之助 |
清 七 |
宗之助 |
次郎兵衛 |
錦 吾 |
小 市 |
男女蔵 |
アグリッピーナ |
高麗蔵 |
九右衛門 |
彌十郎 |
三五郎/ポチョムキン |
白 鸚 |