演目と配役
一、當辰歳歌舞伎賑(あたるたつどしかぶきのにぎわい)
五人三番叟
英獅子
辰年の幕開き、舞踊2題で華やかに 〈五人三番叟〉
五人の三番叟が天下泰平と五穀豊穣を祈り、躍動感たっぷりに舞い踊ります。 〈英獅子〉 艶やかな芸者といなせな鳶頭、粋で華やかな踊りに江戸情緒があふれます。
賑やかでおめでたい舞踊2題で、令和6(2024)年の幕開きを寿ぎます。
〈五人三番叟〉 |
|
三番叟 |
中村福之助 |
三番叟 |
鷹之資 |
三番叟 |
歌之助 |
三番叟 |
玉太郎 |
三番叟 |
虎之介 |
〈英獅子〉 |
|
芸者 |
雀右衛門 |
鳶頭 |
鴈治郎 |
鳶頭 |
又五郎 |
神田松鯉 口演より
竹柴潤一 脚本
西森英行 演出
赤穂義士外伝の内
二、荒川十太夫(あらかわじゅうだゆう)
反響に応え再演、十太夫が抱える苦悩と覚悟
赤穂義士の七回忌を弔う人々が行き交う泉岳寺の門前。下級武士に似つかわしくない身なりでやってきたのは伊予松山藩松平家の徒士(かち)侍・荒川十太夫。偶然居合わせた同藩目付役の杉田五左衛門は、武士が身分を偽ることは大罪であると、十太夫を咎めます。その日の夜、取り調べの場で松平隠岐守から理由を問われた十太夫は、赤穂義士の一人・堀部安兵衛の介錯をつとめた日のことを語り始め…。
令和4(2022)年10月、人間国宝の講談師・神田松鯉の口演による「赤穂義士外伝」を歌舞伎として初演。討入りを果たした堀部安兵衛の介錯人をつとめた下級武士、荒川十太夫の苦悩と覚悟を情感豊かに描き出した新作歌舞伎は、その年の「大谷竹次郎賞」や「文化庁芸術祭賞・優秀賞」を受賞するなど大きな反響を呼びました。義に生きる十太夫の誠実さが胸を打つ、「忠臣蔵」の後日譚をご堪能ください。
荒川十太夫 |
松 緑 |
松平隠岐守定直 |
坂東亀蔵 |
大石主税 |
左 近 |
杉田五左衛門 |
吉之丞 |
泉岳寺和尚長恩 |
猿 弥 |
堀部安兵衛 |
中 車 |
北條秀司 作・演出
奈河彰輔 演出
大場正昭 演出
江戸みやげ
三、狐狸狐狸ばなし(こりこりばなし)
初笑いを歌舞伎座で! 虚々実々の騙し合い
江戸・吉原田圃で手拭い染屋を営む伊之助は、元は上方の女方役者。女房のおきわと使用人の又市の三人で暮らしています。かつて女郎だったおきわは、酒飲みで怠け者のうえ、今ではなまぐさ坊主の重善と深い仲。それを知ってか知らずか、伊之助のおきわへの執着は増すばかり…。ある日、おきわは重善と一緒になりたい一心から、伊之助を毒殺。しかし翌朝、死んだはずの伊之助がひょっこりと現れたものだから大騒動! 男と女の色欲が絡み合うなか、虚々実々の騙し合いの行方は――!?
昭和36(1961)年初演、北條秀司作の喜劇の傑作。女房にぞっこんの主人公・伊之助、奔放で美しい女房おきわ、色男の法印重善、おかしみあふれる雇人又市ら個性豊かな登場人物が狐と狸の化かし合いよろしく、二転三転の騙し合いを展開します。初笑いを歌舞伎座でお楽しみください。
手拭い屋伊之助 |
幸四郎 |
女房おきわ |
尾上右近 |
雇人又市 |
染五郎 |
博奕打ち福造 |
廣太郎 |
おそめ |
青 虎 |
弔問の女おしづ |
梅 花 |
遊び帰りの男 |
宗之助 |
寺男甚平 |
亀 鶴 |
法印重善 |
錦之助 |
初春に相応しい祝祭舞踊
新しい春を迎えた宮中の華やかな節会。女帝の前では千年万年の寿命を捧げるという、めでたい鶴と亀が舞い踊ります。
能の「鶴亀」の詞章を長唄に移した舞踊で、祝儀物の代表作。格調高く典雅なひとときをお楽しみください。
女帝 |
福 助 |
亀 |
松 緑 |
従者 |
左 近 |
従者 |
染五郎 |
鶴 |
幸四郎 |
歌舞伎の様式美あふれる豪華なひと幕
工藤祐経の館では、富士の巻狩りの総奉行に任じられた工藤が祝宴を催しています。そこへ、曽我十郎と五郎の兄弟がやって来て工藤への対面を願い出ます。二人の父は、18年前に工藤の不意打ちにより落命。その仇を討とうとはやる五郎は、工藤に詰め寄りますが…。
江戸歌舞伎では、初春興行に曽我兄弟の仇討ちを題材とした「曽我物」を上演することが吉例でした。歌舞伎の役柄が一堂にそろい、祝祭劇としての儀式性と歌舞伎の様式美が凝縮された舞台にご期待ください。
工藤左衛門祐経 |
梅 玉 |
曽我十郎祐成 |
扇 雀 |
曽我五郎時致 |
芝 翫 |
化粧坂少将 |
高麗蔵 |
近江小藤太 |
松 江 |
八幡三郎 |
虎之介 |
梶原平三景時 |
錦 吾 |
梶原平次景高 |
桂 三 |
小林朝比奈 |
彌十郎 |
鬼王新左衛門 |
東 蔵 |
大磯の虎 |
魁 春 |
親子の情愛が胸に沁みる名作
雪が降りしきる冬の夜。江戸の入り口にある火の番小屋で一人寂しく焚火にあたる番人の老爺は、気に入らない相手には口も効かぬ頑固者。小屋に顔を出した捕吏も相手にしません。しかし、両親を探しているという一人の若い男が入ってくると、自分にも9年前に上方へ出た立派な息子がいると話し出す老爺。実はこの若者こそ、今はならず者となった息子・金次郎で…。
英国の戯曲を小山内薫が翻案し、大正12(1923)年に初演。江戸の市井の薫りが繊細に描かれ、親子の情愛が胸に沁みる名作です。はからずも再会した親子のやり取りが涙を誘う舞台をご堪能ください。
火の番の老爺 |
白 鸚 |
捕吏 |
染五郎 |
金次郎 |
幸四郎 |
四、京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)
鐘供養の場
切ない恋心を踊る歌舞伎舞踊の大曲
春爛漫、鐘供養のため所化が集まる道成寺。そこへ白拍子の花子が現れ、鐘を拝みたいと申し出ます。所化たちは舞の奉納を条件に入山を許しますが、花子は切ない恋心を艶やかに踊り披露するうち、次第に形相が変わり…。
満開の桜の下、衣裳を変えながら娘の恋心を巧みに踊り分ける、歌舞伎舞踊屈指の大曲。清新な舞台にご期待ください。
白拍子花子 |
壱太郎(2~14日) |
|
尾上右近(15~27日) |
所化 |
廣太郎 |
同 |
玉太郎 |