演目と配役
蜘蛛の絲宿直噺(くものいとおよづめばなし)
市川猿之助五変化相勤め申し候
華麗な早替り、鮮やかな変化舞踊
源頼光の館では、病に伏せる頼光を守護するため、家臣の坂田金時と碓井貞光、その女房たちが宿直をしています。そこに頼光を狙う女童、小姓、番新、さらに太鼓持が次々と現れては、その寝所へ忍び入ろうとします。やがて、頼光のもとに傾城薄雲太夫が訪れ、久しぶりの逢瀬を楽しむ二人でしたが…。 源頼光主従の土蜘蛛退治を題材にした変化舞踊。一人の俳優がさまざまな役柄を演じ分けつつ本性をあらわす鮮やかな変化、そして千筋の糸を繰り出す圧巻のクライマックスと、みどころの多いひと幕です。五役の早替りで魅せる、華やかな舞踊劇にご期待ください。
※「澤瀉屋」の「瀉」のつくりは、正しくは“わかんむり”です
女童熨斗美 |
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小姓澤瀉 |
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番新八重里 |
猿之助 |
太鼓持彦平 |
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傾城薄雲 |
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源頼光 |
隼 人 |
碓井貞光 |
中村福之助 |
金時女房八重菊 |
笑三郎 |
貞光女房桐の谷 |
笑 也 |
坂田金時 |
猿 弥 |
岡村柿紅 作
新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん)
恐妻家の夫と嫉妬深い妻、ユーモアあふれる舞踊劇
都の大名の山蔭右京は、恐妻家でありながら大変な浮気性。愛人の花子が都へやって来たことを知り、なんとか会いたいと願いますが、奥方玉の井が片時も離れないため会いに行くことができません。そこで一計を案じた右京は、邸内の持仏堂で一晩座禅をするという許しを得ると、家来の太郎冠者に自分の身替りとして座禅衾をかぶらせ、花子のもとへ向かいます。しかし、このことが玉の井に発覚すると…。 狂言の大曲「花子」をもとにした舞踊劇で、現代にも通じる夫婦のやりとりがユーモラスに描かれます。松羽目物の名作をお楽しみください。
山蔭右京 |
菊五郎 |
太郎冠者 |
権十郎 |
侍女千枝 |
尾上右近 |
同 小枝 |
米 吉 |
奥方玉の井 |
左團次 |
阿呆の姿に包み隠した本心とは
平家全盛の世。かつて源義朝の妻であった常盤御前は、敵方の平清盛の寵愛を受けた後、阿呆と噂される公家の一條大蔵卿のもとへ嫁ぎました。源氏方の吉岡鬼次郎と妻お京は、常盤の真意を探るため大蔵卿の館に潜り込みますが、源氏再興の思いをなくした様子で楊弓遊びに興じる常盤。堪えかねた鬼次郎が意見すると、実はその矢は平家調伏のためであったと本心を明かします。そこへ、常の様子とは異なる威厳あふれる大蔵卿が現れ…。 味わい深い義太夫狂言の名作。密かに源氏に心を寄せる大蔵卿の作り阿呆と颯爽とした本性の二面性が、魅力的に描き出されます。
一條大蔵長成 |
白 鸚 |
吉岡鬼次郎 |
芝 翫 |
女房お京 |
壱太郎 |
八剣勘解由 |
錦 吾 |
女房鳴瀬 |
高麗蔵 |
常盤御前 |
魁 春 |
親を慕う子狐の深い情愛
吉野山中の川連法眼の館へ匿われている義経のもとに、家臣の佐藤忠信が訪ねてきます。義経は、伏見稲荷で預けた静御前の安否を尋ねますが、忠信は覚えがない様子。そこへ静とともに、もうひとりの忠信が到着したことが告げられます。実は、静の供をしていた忠信は、義経が静に与えた初音の鼓の皮に用いられた狐夫婦の子。両親を慕い、忠信の姿に化けて付き添ってきたのでした。その孝心に心打たれた義経は…。 「四の切」の通称で知られる本作は、「狐詞」と呼ばれる独特なせりふ回しや、狐衣裳への早替りなど、本物の忠信と狐忠信の演じ分けがみどころの人気の場面です。親子の情愛が描かれる心温まる物語をご堪能ください。
佐藤忠信/源九郎狐 |
獅 童 |
源義経 |
染五郎 |
駿河次郎 |
團 子 |
亀井六郎 |
國 矢 |
静御前 |
莟 玉 |