演目と配役
池田大伍 作
織田紘二 演出
一、男達ばやり(おとこだてばやり)
二人の男の意気地が燃える
江戸の町では旗本奴と町奴の対立が激しく、互いにしのぎを削っています。ある日、旗本奴の三浦小次郎が上野不忍池のほとりを歩いていると、池に飛び込む老人に遭遇します。老人を助け出そうとしますが、泳げない三浦は立ち往生するばかり。すると田舟を漕ぐ船頭がその老人を救い上げます。娘の死後、婿の又兵衛と後妻に疎まれ、身投げを図ったと語る老人、六兵衛。船頭は明日までに30両を用意するから、婿と張り合う茶店を出せと勧め、その様子を見ていた三浦も証人になると口を挟み、翌朝の再会を約します。そして翌朝、又兵衛の茶屋に入ってきた男こそ、六兵衛を救った船頭、町奴の朝日奈三郎兵衛でした。旗本の三浦と幡随院長兵衛一家の朝日奈は互いに名のり合い、やがて意地を張り合う二人は…。
大正15(1926)年初演の本作は、『名月八幡祭』などで知られる池田大伍による新歌舞伎。男達(男伊達)を競う旗本奴と町奴を痛快に描き、このたび、31年ぶりの上演となります。巳之助の朝日奈三郎兵衛、隼人の三浦小次郎という華やかな顔合わせで、火花飛び散る男の意地の張り合いをお楽しみください。
| 朝日奈三郎兵衛 |
巳之助 |
| 三浦小次郎 |
隼 人 |
| 唐犬権兵衛 |
猿 弥 |
| 奴権平 |
青 虎 |
| 老人六兵衛 |
橘三郎 |
| 放駒四郎兵衛 |
中村福之助 |
| 茶屋亭主又兵衛 |
橋之助 |
| 又兵衛女房とま |
米 吉 |
「納涼」ならではの顔合わせの舞踊2題
〈猩々〉
中国・揚子江のほとり。猩々は酒売りに勧められるままに大好きな酒を飲むと、上機嫌に舞って見せます。やがて、酒売りに酒壺を与えて姿を消しますが、その酒壺とは…。
〈団子売〉
多くの人で賑わう大坂天神橋。そこへ屋台を担いだ団子売の杵造とお福夫婦がやって来て、仲良く息を合わせて餅をつき始めます。
古くから中国に伝わる霊獣が舞う幻想的で華やかな『猩々』では、猩々を幸四郎と勘九郎、酒売りを高麗蔵が勤め、幸福感に満ちた『団子売』では、幸四郎の杵造、勘九郎のお福夫婦が息の合った踊りを披露します。舞踊に定評のある幸四郎と勘九郎の華やかな組み合わせで趣の異なる舞踊2題をお楽しみください。
| 〈猩々〉 |
|
| 猩々 |
幸四郎 |
| 猩々 |
勘九郎 |
| 酒売り |
高麗蔵 |
| 〈団子売〉 |
|
| 杵造 |
幸四郎 |
| お福 |
勘九郎 |
近松門左衛門 作
坂東玉三郎 監修
一、日本振袖始(にほんふりそではじめ)
妖艶な雰囲気漂う、古風な舞踊劇
神代の昔、出雲国を流れる簸(ひ)の川の窟(いわや)に棲みつく八岐大蛇(やまたのおろち)。八つの頭と尾を持つ大蛇に人々は恐れ慄き、毎年、美しい娘を生贄として捧げています。長者の一人娘・稲田姫が捧げられると、どこからともなく姿を現したのは、岩長姫。稲田姫とともに供えられた瓶(かめ)に入った酒の香りに誘われ、次々と呑み干します。しかし、この酒は八岐大蛇退治のために素盞嗚尊(すさのおのみこと)が仕込んだ毒酒で…。
日本神話を題材に、近松門左衛門が創作した『日本振袖始』は、享保3(1718)年に人形浄瑠璃として初演され、同年に歌舞伎として上演されました。妖艶な雰囲気漂う岩長姫が酒を飲み、酔って大蛇の本性をあらわす場面や、八岐大蛇の分身たちと素盞嗚尊の迫力ある立廻りが大きなみどころです。これまで繰り返し岩長姫を勤めてきた玉三郎の監修のもと、七之助が岩長姫実は八岐大蛇、染五郎が素盞嗚尊をそれぞれ初役で勤め、米吉の稲田姫という配役で古風な魅力あふれる傑作をご覧いただきます。
| 岩長姫実は八岐大蛇 |
七之助 |
| 稲田姫 |
米 吉 |
| 素盞嗚尊 |
染五郎 |
竹柴潤一 脚本
原純 演出・美術
坂東玉三郎 演出
二、火の鳥
儚き人間たち、火の鳥が示す永遠とは――
大王(おおきみ)の治める国では、血で血を洗う争いを繰り返し、多くの国に攻め入って領土を広げてきました。しかし、病に苦しみ老いた大王は、永遠の力を持つ火の鳥を我が物とすることで未来永劫に続く命を得ようと考えました。火の鳥の捕縛を命じられた二人の王子、ヤマヒコとウミヒコは、古来より火の鳥が棲むとされる遥か彼方の国へと旅に赴きます。二人は黄金に輝く不思議な林檎の木が生い茂る苑で、イワガネと名のる人物に出会い…。
バレエや漫画などの題材にもなってきた「火の鳥」が、このたび、新作歌舞伎として誕生します。演出・美術原案にはオペラ演出を手掛ける原純。演出も手掛ける玉三郎が火の鳥、幸四郎が大王、新悟がイワガネ、染五郎がヤマヒコ、團子がウミヒコを勤める、壮大かつ神秘的な世界にご期待ください。
| 火の鳥 |
玉三郎 |
| ヤマヒコ |
染五郎 |
| ウミヒコ |
團 子 |
| イワガネ |
新 悟 |
| 重臣 |
亀 鶴 |
| 大王 |
幸四郎 |
花形がそろう、賑やかな舞
江戸は日本橋。獅子頭をかぶった角兵衛獅子たちが賑やかにやって来ると、浜唄やおけさ節、布を波に見立てた布さらしを披露して、華やかに踊ります。
越後の国(現在の新潟県)から全国を巡って商いをする大道芸人の賑わいと、その軽妙な動きを舞踊化した本作。角兵衛獅子に橋之助、中村福之助、虎之介、歌之助の花形がそろう、賑やかな舞踊をお楽しみいただきます。
| 角兵衛獅子 |
橋之助 |
| 同 |
男 寅 |
| 同 |
中村福之助 |
| 同 |
虎之介 |
| 同 |
玉太郎 |
| 同 |
歌之助 |
| 同 |
青 虎 |
木村錦花 作
平田兼三郎 脚色
野田秀樹 脚本・演出
二、野田版 研辰の討たれ(のだばん とぎたつのうたれ)
新世代で20年ぶり上演の人気作
粟津藩藩士の守山辰次は、元は刀の研屋。研屋の辰次で「研辰」です。お調子者の辰次は、殿様の刀を研いだ縁で武士に取り立てられるも、町人根性が抜けず、周囲からは蔑まれる始末。主君の仇討ちを見事成し遂げた赤穂浪士に沸き上がる道場でも、仇討ちの馬鹿馬鹿しさを言い放つので、家老の平井市郎右衛門にこっぴどく叱られ、粟津藩主の奥方萩の江の前で散々に打ち据えられます。仕返しをしようと仕掛けたからくりが元で市郎右衛門を死なせてしまうと、その息子の九市郎と才次郎の兄弟に仇として追われることに。ひたすら諸国を逃げ回る辰次でしたが…。
大正14(1925)年に初演された木村錦花原作の一風変わった仇討ちの物語を、野田秀樹による新たな視点で“野田版”として上演。十八世中村勘三郎(当時 勘九郎)と野田秀樹が初めてタッグを組んだ本作は、平成13(2001)年8月に初演し大評判を呼び、平成17(2005)年5月・7月には勘三郎襲名披露狂言として再演しました。今回、20年の時を経て、父・勘三郎が演じた守山辰次を勘九郎が初役で演じるのをはじめ、仇討ちに奔走する平井九市郎と才次郎を演じる染五郎と勘太郎もそれぞれ父と同じ役での出演。萩の江とおよしの2役を七之助、家老平井市郎右衛門を幸四郎、僧良観を扇雀が勤めます。新たな風が吹く人気作にご期待ください。
| 守山辰次 |
勘九郎 |
| 平井九市郎 |
染五郎 |
| 平井才次郎 |
勘太郎 |
| 粟津の奥方萩の江/姉娘およし |
七之助 |
| 八見伝内/番頭友七 |
中 車 |
| 役人町田定助 |
巳之助 |
| 妹娘おみね |
新 悟 |
| 湯崎幸一郎 |
橋之助 |
| 蔦屋長三郎 |
長三郎 |
| 小平権十郎 |
吉之丞 |
| 女中お駒 |
歌女之丞 |
| お酌の太郎 |
宗之助 |
| 高橋三左衛門 |
廣太郎 |
| 宮田新左衛門 |
猿弥 |
| からくり人形/番人番五郎 |
片岡亀蔵 |
| 家老平井市郎右衛門 |
幸四郎 |
| 僧良観 |
扇 雀 |